積立NISA・IDECO・ETFの出口戦略

もしも積立NISA・IDECOやETFの積立てをしていて受け取り時の価格が低かったらどうするのか?
結論からいうと自分の納得いく価格になるまで売却はせず積立て続ければいいということになります。
もともとETFの積立てなら制度的な制約は何もないのですから値段が上がるまで売らなければいいのは当然です。
以前の記事でドルコスト平均法について触れましたが、暴落時は平均購入価格を下げるチャンスなので下手に損切りなど考えず積立て続けていればいいのです。

 

つみたてNISAの場合はどうでしょうか?
積立NISAは毎年40万円までが20年間非課税となります。
実は現時点では証券会社でも20年後の積立NISA適用投資信託の扱いがどうなるのか、はっきりとは知らされていないそうです。
しかしながら20年目が来てしまったとしても決済せずに特定口座に移して投資信託を保持できるか、あるいは一旦決済となってしまったとしても同じ商品を同額購入で特定口座で保持はできるだろうとのことでした。
そう、たとえ強制決済があったとしても即時同額購入をして機会を待って保持し続ければいいのです。
なので21年目以降の上昇分については約20%の分離課税はあるものの、あなたの納得できる価格になるまで積立NISAで選んだ投資信託を現金化する必要はありません

 

ではIDECOの場合はどうでしょうか?
こちらは積立てができるのは60才までと制度で決まっていますが、決済するのは60~75才までの間なら自由に選べます。もちろん待っている間も資金は運用され利益を得ることができます。
詳細は「【iDeCo】老齢給付金の請求を60歳以降に繰り下げることはできますか?その場合、運用はどうなるのですか?」とそのリンク先で確認できます。
ただ、以前の記事で積立NISAは強く推したのにもかかわらずIDECOは40年なら1万円程度でも充分だとしたのは最終的には税金が(特にサラリーマン等退職金を受け取れる人に対して)かなりの額で発生してしまい、せっかくの分離課税非課税の利点が薄れているからなのですがそれだけではありません。

IDECOは年金の補完・追加を目的としているので制度的な制約が特に多いのです。
もともとIDECO用に選択可能な投資信託は積立NISA用のそれよりも更に範囲も数も少なく、例えば楽天証券だと正直お勧めできるのは楽天・全米株式インデックス・ファンド くらいしかなく選択肢に幅がありません。
取扱商品一覧 | 個人型確定拠出年金(iDeCo)」からあえて他の投資信託を選ぶとしても次点として楽天・全世界株式インデックス・ファンド くらいでしょうか。
お勧めの理由はそれぞれVanguardのETFに連動しているからですが、順位が付くのは以前の記事でETFについて説明した通りです。
他の証券会社でも結構厳しい状況で、証券会社によっては選択肢にまともなものすらないところもあります。

IDECOは60~75才までの間に受け取りを選択することができますが、逆に言うとその15年間しか決済選択の自由がありません。
さすがにアメリカでは回復までに15年を超す暴落というと1929年の大恐慌くらいしか歴史的にもありませんが、何事にも絶対ということはないという覚悟くらいはしておくべきです。
何の制約もないETFや決済時期の選択に制約のない積立NISAとはここでも違いが出てしまいます。

最後に再度IDECOの税制上のメリット・デメリットを書きますが、メリットについては各証券会社のHPやIDECO公式HPにも記載がありますが、デメリットについては分断された情報だけしか記載されていません。
まずメリットとしては約20%の分離課税が非課税となることと、積立額がそのまま所得控除となることの2つです。
但し2つ目は税額控除ではなく所得控除に過ぎないので積立額の一部だけが節税になります。丁度所得が所得税率区分の境界線近くになる人以外は大したメリットにはならないと思います。それよりも後々のデメリットによる減殺が大きいのです。

そしてそのデメリットについてですが、これはまるでメリットの一部のように記載されていることも多い為ややこしいです。
IDECOは純粋な投資というより年金の補完・追加なので決済後の受け取りも「老齢給付金」として「一括受け取り」か「年金型受け取り」の2つから選ぶことになります。

「一括受け取りの場合退職金控除が効きます」と記載されていることが多いのですが、これは裏を返すと退職金として課税されることを指します。
具体的には「(退職金 – 退職所得控除)÷2」に対して所得税率分の課税と住民税です。
勤続年数が20年以下なら退職所得控除(万円)= 40 x 勤続年数、21年以上なら退職所得控除(万円)= 70 x ( 勤続年数 – 20 ) + 800、但し勤続年数を片方に使い切ったとしても他方には最低控除として80万円が保障されます。
一括受け取りの場合、退職金とIDECOの老齢給付金のうち額が大きい方に退職金控除を使いたいので、額が大きいほうを先に受け取る必要があります。
そのため額が大きいほうが後になってしまう、とか2つの額に大きな差がない等、条件が合わない場合には「年金型受け取り」を選択することになります。

「年金型受け取りの場合は公的年金等控除が効きます」とどこかに書いてあるのではないかと思います。
これも裏を返すと公的年金同様の税金が掛かり、社会保障料も取られることを意味しています。
こちらは退職金相当の扱いとは異なり1/2の適用がありません。
つまり公的年金等控除分を超えた金額は全て雑所得として所得税の対象となってしまうのです。
そのため受け取り時に退職金控除あるいは公的年金等控除のいずれか余裕があるほうに合わせて受け取り方を指定する必要があります。特に公務員やサラリーマンですと控除額をかなり使い込んでいる場合も多いからです。

ややこしかったですか?(ノ_く。)
IDECOにも積立NISA同様の分離課税非課税がありメリットは大きいです。
でもIDECOには制約も多く、デメリットも存在します。
特に最終的な受け取り金額が大きくなりすぎると、メリット分以上のデメリットになりかねないので、バランスをとると40年積立てるのなら1万円でも充分と以前言っておきました。
試算をしたい場合には「積立計算(複利毎課税)」サイトを用いて、退職金との兼ね合いを考えながらIDECO老齢給付金を算出し、それぞれ「一時金」と「年金」型に合わせて税金を計算してみてください。
投資としてのIDECOではあまり積立額に欲張り過ぎず、ニャン吉的にはそれ以上を求めるならETF積立をすることをお勧めします。
もちろんIDECOを全否定しているわけではなく、IDECOの利点は積極的に享受すべきです。

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